臨床神経学

短報

パーキンソン病患者における発語の寡動と発話時音程の平坦化

川田 憲一1)2), 宮崎 眞佐男1), 松山 真人1), 村井 克昌1)3), 中谷 謙4)

1)山田赤十字病院 神経内科〔〒516-0805 三重県度会郡御薗村高向810〕
2)現三重大学神経内科〔〒514-8507 三重県津市江戸橋2-174〕
3)現済生会明和病院神経内科〔〒515-0312 三重県多気郡明和町上野435〕
4)山田赤十字病院 言語療法科〔〒516-0805 三重県度会郡御薗村高向810〕

パーキンソン病の発語,発話の特徴を音響分析ソフトをもちいて検討した.その結果,パーキンソン病患者では発語開始から最大振幅にいたるまでの時間は有意に遅れ,音量は小さく,短文発話では文全体の単調な音程(monopitch)と文節毎の音程も平坦化が特徴であった.音程の平坦化と発語の延長は相関していたが,衝動性眼球運動の立ち上がりから最大振幅までの時間との相関はみとめられなかった.パーキンソン病患者の構音障害の判定に最大振幅にいたるまでの時間の測定は簡便で,有用な方法と考えられた.

(臨床神経, 44:703−706, 2004)
key words:パーキンソン病, 音響分析, 発語の寡動, モノピッチな発話

(受付日:2004年4月6日)