臨床神経学

短報

MRI脂肪抑制画像が早期診断に有用であった急性脊髄硬膜外血腫の1例

雪竹 基弘1), 尾上 祐行1), 阿南 真由美1), 高瀬 幸徳2), 黒田 康夫1)

1)佐賀医科大学内科(神経筋)〔〒849-8501 佐賀市鍋島五丁目1-1〕
2)同 放射線科

症例は64歳女性である.突然の後頸部痛に続き,左半身の脱力を自覚.その後,右上下肢の筋力低下も出現.頸髄病変がうたがわれ,発症15時間後に頸部MRIを施行した.T1およびT2強調画像では異常は検出できず,脂肪抑制画像においてC4〜5レベルの頸髄硬膜外血腫が明瞭に描出された.症状は内科的治療にて消失した.脊髄硬膜外血腫はMRI検査の導入によりその診断率は向上しているが,超急性期にはT1およびT2強調画像では等信号である可能性がある.本例のように脂肪抑制画像をふくめ撮像法を工夫することは,本疾患の早期診断をより容易にし,診断率も向上させることにつながると考えられる.

(臨床神経, 43:284−286, 2003)
key words:脊髄硬膜外血腫, MRI, 脂肪抑制画像, 早期診断, 自然回復

(受付日:2002年12月24日)