臨床神経学

短報

ヒトヘルペスウイルス6型肝炎の活動性にともない再発をくりかえした髄膜炎の1例

佐藤 晶, 丹羽 潔, 川口 千佳子, 竹岡 常行, 篠原 幸人

東海大学医学部神経内科〔〒259-1193 神奈川県伊勢原市望星台〕

肝炎の活動性に平行し再発をくりかえした27歳男性の髄膜炎例を経験した.11歳,16歳,23歳時に無菌性髄膜炎の入院歴があり,いずれも肝炎の活動期に一致していた.今回も肝トランスアミナーゼの上昇を同時期にみとめ,肝組織よりヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)がpolymerase chain reaction(PCR)法により検出された.HHV-6による肝炎に併発した髄膜炎と考えアシクロビル,グリセロールの投与をおこない臨床症状の改善,髄液所見,トランスアミナーゼの正常化をみとめた.
再発性髄膜炎に肝炎の合併をみとめたばあい,単純ヘルペスウイルス1型・2型,サイトメガロウイルス,EBウイルスのみならず,HHV-6もふくめた検索が必要と考えられた.

(臨床神経, 43:281−283, 2003)
key words:ヒトヘルペスウイルス6型, 肝炎, 再発性髄膜炎

(受付日:2002年12月11日)