臨床神経学

原著

筋型糖原病の全国調査および浜松市発達医療総合センターにおける筋型糖原病診断症例の比較検討

福田 冬季子1), 杉江 秀夫1), 伊藤 政孝1), 杉江 陽子2), 斎藤 加代子3), 西野 一三4), 清水 輝夫5)

1)浜松市発達医療総合センター小児神経科〔〒434-0023 浜北市高薗775-1〕
2)浜松医科大学小児科
3)東京女子医科大学小児科
4)国立精神神経センター疾病研第一部
5)帝京大学神経内科

我が国における筋型糖原病の罹患頻度を明らかにするために,2001年全国調査を実施し,浜松市発達医療総合センターにて筋型糖原病と診断した経験と比較した.全国調査,自験例とも糖原病II,III,V型が多く,この3病型で筋型糖原病の約80%を占めた.自験例の診断方法は,生検筋をもちいた酵素測定がもっとも多かったが,糖原病II,III,IV,IX型は,血球をもちいた酵素診断が可能であり,日本人糖原病V型の約50%に共通遺伝子変異をみとめるため,筋型糖原病の約70%で血液をもちいた診断が可能であることが明らかとなった.さらにMcArdle病の筋症状の初発時期は様々であるが,45%の症例で筋力低下などの固定性筋症状がみられることが明らかとなった.

(臨床神経, 43:243−248, 2003)
key words:筋型糖原病, McArdle病, 全国調査, Pompe病, ミオグロビン尿症

(受付日:2003年1月8日)