臨床神経学

短報

三次元的定位表面投射法(3D-SSP)をもちいた知的機能低下をともなうパーキンソン病患者の局所脳血流の検討

坂井 利行1), 葛原 茂樹2)

1)済生会松阪総合病院神経内科〔〒515-8557 松阪市朝日町1区15-6〕
2)三重大学医学部神経内科〔〒514-8507 津市江戸橋2-174〕

知的機能低下をともなうパーキンソン病(PD)患者8例(年齢;64〜82歳,Mini-Mental State Examination;22〜6点,Yahr stage;III〜V)において,123I-IMP SPECTを施行し,従来の水平断層像と,3D-SSPおよび対照群データベースによって作成した脳血流統計画像(Z-score画像)の脳血流パターンを定性的評価により比較,検討した.8例中6例では血流低下部位が一致したが,他の2例ではZ-score画像においてのみ血流低下部位を明確に描出できた.8例では水平断層像とZ-score画像の両者において,側頭〜頭頂領域に血流低下をみとめ,そのうちの3例ではZ-score画像によってのみ,帯状回後部と楔前部の血流低下を描出できた.3D-SSPをもちいた123I-IMP-SPECTは頭頂葉内側部の評価法として水平断層像よりも鋭敏であるので,知的機能低下をともなうPD患者においても,従来よりも鋭敏な局所脳血流低下の客観的評価法の一つになりうると考えられる.

(臨床神経, 43:183−187, 2003)
key words:パーキンソン病, 知的機能低下, SPECT, 局所脳血流量, 3D-SSP

(受付日:2002年8月7日)