臨床神経学

原著

運動ニューロン疾患の咬合力に関する検討

大貫 陽一, 瀧澤 俊也, 篠原 幸人

東海大学医学部神経内科〔〒259-1143 神奈川県伊勢原市下糟屋143〕

運動ニューロン疾患(MND)患者の咬合力を測定し,球麻痺との関連を評価した.対象はMND患者16例,病型は筋萎縮性側索硬化症(ALS),進行性球麻痺,球脊髄性筋萎縮症で,対照は非神経疾患の患者13例であった.球麻痺症状軽症群,重症群に分け,咬合力は圧トランスデユーサーで計測した.MND群と対照群,ALS群と対照群との比較,およびMNDの球麻痺症状軽症群と対照群,同重症群と対照群,同軽症群と重症群との比較でも有意差はなかった.MNDで咬合力障害は病型や球麻痺との関係が希薄であることが示唆された.推計学的有意差はないが球麻痺重症群では対照群,球麻痺軽症群に対して咬合力の低下傾向をみとめるので今後,検討をおこないたい.

(臨床神経, 42:501−503, 2002)
key words:運動ニューロン疾患, 咬合力, 球麻痺

(受付日:2001年9月28日)