臨床神経学

短報

血液透析中の慢性腎不全患者に発症したp-ANCA陽性肥厚性脳硬膜炎

田島 康敬, 宮崎 雄生, 須藤 和昌, 松本 昭久

市立札幌病院神経内科〔〒060-8604 札幌市北区北13条西11丁目〕

慢性腎不全透析中の66歳女性に発症したp-ANCA陽性肥厚性脳硬膜炎を報告した.MRIでは硬膜は全周性に均一に肥厚造影されており,病理組織学的に膠原線維の増生とT細胞主体の慢性炎症性変化をみとめた.抗生物質とステロイド剤投与により症状とMRI所見の著明改善をみとめ,p-ANCAも低下した.組織学的に血管炎や特異的感染症の関与は確認できなかったが,その発症にp-ANCAもふくめた免疫学的機序が推測された.

(臨床神経, 42:243−246, 2002)
key words:肥厚性脳硬膜炎, 慢性腎不全, 血液透析, 抗好中球細胞質抗体

(受付日:2002年2月15日)