臨床神経学

症例報告

Pseudomigraine with pleocytosisの1例

野村 哲志, 涌谷 陽介, 土井 浩二, 深田 育代, 中野 俊哉, 古和 久典, 竹島 多賀夫, 中島 健二

鳥取大学医学部脳神経内科〔〒683−8504 鳥取県米子市西町36-1〕

症例は28歳女性である.2カ月間に2度の激しい頭痛発作があり,左同名半盲,左片麻痺,左手の異常感覚,項部硬直をともなっていた.髄液リンパ球の軽度増加(14/mm3),SPECTにて右大脳半球,小脳半球の血流低下,脳波で右側低電位,SEPでC4のN18・P24振幅低下をみとめた.3日目にはすべての症状が消失し,髄液リンパ球,SEP,脳波,SPECT所見は正常化した.その後頭痛発作は出現しなかった.以上より一過性神経脱落症状・髄液細胞増多と片頭痛様頭痛を特徴とするpseudomigraine with pleocytosis(PMP)と診断した.PMPは本邦で報告がなく,本症例は一過性神経脱落症状と相当する部位の血流低下や電気生理学的な異常がみとめられた.

(臨床神経, 42:954−958, 2002)
key words:発作性頭痛, 神経欠落症状, 髄液細胞数増多, 脳波, 脳血流シンチ

(受付日:2002年9月11日)