臨床神経学

短報

比較的早期に診断し得たヒストプラズマによる慢性脳底部髄膜炎の1例

恩田 亜沙子1)*, 宮川 晋治1), 五味 拓2), 堀野 哲也3), 亀井 克彦4), 谷口 洋1)

Corresponding author: 東京慈恵会医科大学附属柏病院神経内科〔〒277-8567 千葉県柏市柏下163番地-1〕
1)東京慈恵会医科大学附属柏病院神経内科
2)東京慈恵会医科大学附属柏病院放射線部
3)東京慈恵会医科大学附属柏病院感染制御部
4)千葉大学真菌医学研究センター臨床感染分野

症例は41歳男性.2015年5月からメキシコに赴任.2016年5月右肺結節影を指摘された.6月下旬より頭痛,発熱があり,12月当院を受診した.頭部MRIで小脳,脳幹周囲の髄膜に造影効果を認め,慢性脳底部髄膜炎と診断.メキシコへの渡航歴から輸入真菌症を疑い,血清,髄液ヒストプラズマ抗体陽性からヒストプラズマ症と確定した.アムホテリシンBリポソーム製剤で症状は改善した.国内でのヒストプラズマ中枢神経感染症の報告例は少ない.ヒストプラズマ症は免疫正常者においても発症する.渡航歴のある脳底部髄膜炎では積極的に同症を考える必要がある.
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(臨床神経, 58:241−244, 2018)
key words:輸入真菌症,ヒストプラズマ症,脳底部髄膜炎,免疫正常者,結核

(受付日:2018年1月15日)