臨床神経学

症例報告

椎骨動脈から後大脳動脈におよぶ動脈解離をきたした脳梗塞の1例

芦田 真士1), 永金 義成1)*, 牧野 雅弘1), 友永 慶1), 蒔田 直輝1), 山本 康正1)

Corresponding author: 京都第二赤十字病院脳神経内科〔〒602-8026 京都府京都市上京区釜座通丸太町上ル春帯町355番地の5〕
1)京都第二赤十字病院脳神経内科

症例は45歳女性.突然の頭痛と意識障害のため頭痛発症6時間53分後に救急受診した.見当識障害,左同名半盲,左片麻痺,左上下肢の感覚障害を認め,MR拡散強調画像にて右後頭葉と両側視床に高信号域を認めた.急性期治療として抗凝固療法を開始したが,意識障害の進行と両側眼球運動障害を認め,中脳内側梗塞が拡大した.MRAでは右椎骨動脈と脳底動脈にdouble-lumenを認め,右後大脳動脈の描出は数週間にわたって変化したことから,右椎骨動脈から脳底動脈,さらに右後大脳動脈におよぶ動脈解離が脳梗塞の原因と診断した.右椎骨動脈から右後大脳動脈におよぶ動脈解離は希少であり報告する.
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(臨床神経, 57:446−450, 2017)
key words:脳梗塞,動脈解離,MRI

(受付日:2017年4月10日)