臨床神経学

症例報告

多巣性脳病変を呈し,免疫治療の併用により改善した抗gamma aminobutyric acid (GABA)A 受容体抗体陽性脳炎の1例

深見 祐樹1), 岡田 弘明1), 吉田 真理2), 山口 啓二1)*

Corresponding author: 一宮西病院神経内科〔〒494-0001 愛知県一宮市開明字平1番地〕
1)一宮西病院神経内科
2)愛知医科大学加齢医科学研究所

症例は78歳女性である.亜急性に進行する意識障害で入院となった.頭部MRI T2強調画像で皮質,白質に多発する高信号病変を認めた.免疫介在性脳炎を疑い,ステロイドパルス療法施行で一旦改善を認めたが,難治性てんかん重積状態で再入院となった.脳生検では非特異的な血管周囲のリンパ球浸潤を認めた.後日,血清抗gamma aminobutyric acid (GABA)A受容体抗体陽性であったことから,抗GABAA受容体抗体陽性脳炎と診断した.抗GABAA受容体抗体陽性脳炎は極めて稀であるため報告する.
Full Text of this Article in Japanese PDF (739K)

(臨床神経, 57:436−440, 2017)
key words:免疫介在性脳炎,抗gamma aminobutyric acid (GABA)A受容体抗体,難治性てんかん重積状態

(受付日:2017年3月24日)