症例報告
腕立て伏せで発症したhereditary neuropathy with liability to pressure palsies の1例
中村 琢洋1）＊ , 瓦林 毅1）, 清野 祐輔1）, 東海林 幹夫1）
＊Corresponding author: 弘前大学医学部医学研究科脳神経内科学講座〔〒036-8216 青森県弘前市在府町5〕
1）弘前大学医学部医学研究科脳神経内科学講座
症例は家族歴のない17歳男性である．腕立て伏せを中心とした筋力トレーニングを開始した数日後より，左上肢の感覚障害と運動障害を来し当科紹介受診となった．神経学的には左上肢に広範囲な筋力低下と橈側の感覚障害を認めた．Magnetic resonance neurography（MRN）で腕神経叢に信号の左右差を認め，左腕神経叢障害が疑われた．神経伝導検査では腕神経叢障害のみでは説明のつかない広範な障害を認め，遺伝学的検査により遺伝性圧脆弱性ニューロパチーの診断に至った．軽度の労作や圧迫によるニューロパチーでは，家族歴が無くとも本疾患を鑑別する必要がある．
Full Text of this Article in Japanese PDF (579K)
(臨床神経, 57：383−386, 2017)
key words：腕神経叢障害，MR ニューログラフィー，PMP22，遺伝性圧脆弱性ニューロパチー，シャルコー・マリー・トゥース病
（受付日：2017年2月22日）
