臨床神経学

症例報告

ニボルマブ投与後に筋炎合併重症筋無力症を発症した1例

此枝 史恵1)*, 鈴木 重明2), 西本 祥仁1), 星野 晴彦1), 高木 誠1)

Corresponding author: 東京都済生会中央病院神経内科〔〒108-0073 東京都港区三田1-4-17〕
1)東京都済生会中央病院神経内科
2)慶應義塾大学医学部神経内科

症例は74歳女性.2014年に進行直腸癌を指摘され直腸離断術を受けたが,残存病変に対する化学療法が副作用のため継続困難となり放射線療法のみで経過観察となっていた.2016年4月に他院で通常より低用量のニボルマブが開始された.ニボルマブの最終投与から約2週間の経過で近位筋優位の筋力低下・筋痛,眼瞼下垂,嚥下障害,呼吸苦が出現した.ニボルマブによる筋炎合併重症筋無力症と考え各種免疫療法を行い症状の改善がみられた.ニボルマブ投与開始から短期間のうちに発症し,従来知られているものとは違い急速に呼吸筋障害をきたすなど重症化する傾向があり,コンサルテーションをうける神経内科医には迅速な対応が求められる.
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(臨床神経, 57:373−377, 2017)
key words:ニボルマブ,免疫チェックポイント阻害薬,重症筋無力症,筋炎

(受付日:2016年12月28日)