臨床神経学

短報

MRI CISS(constructive interference in steady state)法により出血源の硬膜欠損部が同定でき,硬膜閉鎖術が有効であった脳表ヘモジデリン沈着症の1例

迫田 礼子1), 山下 謙一郎1), 林田 光正2), 岩本 幸英2), 山崎 亮1), 吉良 潤一1)*

Corresponding author: 九州大学大学院医学研究院神経内科学〔〒812-8582 福岡県福岡市東区馬出3-1-1〕
1)九州大学大学院医学研究院神経内科学
2)九州大学大学院医学研究院整形外科学

症例は64歳男性である.1998年に頭部を打撲し慢性硬膜下血腫を来した既往がある.2000年から頭痛,ふらつき,聴力低下が出現し緩徐に増悪した.2011年,他院精査で血性髄液を認め,MRIでT2/T2*強調画像にて脳・脊髄表面に沿った低信号病変を認めた.脳表ヘモジデリン沈着症と診断されるも出血源は不明で,止血剤も無効であった.2015年当科受診時,水平性注視方向性眼振,両側高度感音性難聴,四肢・体幹失調を認め,MRIではCISS法にてTh2〜3レベル硬膜前面に欠損を認めた.硬膜欠損に対して硬膜欠損閉鎖術を行ったところ,血性髄液の改善を認め,術後頭痛,失調の改善を認めた.
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(臨床神経, 57:180−183, 2017)
key words:脳表ヘモジデリン沈着症,硬膜欠損,硬膜欠損閉鎖術,CISS

(受付日:2016年10月29日)