臨床神経学

短報

ウレアーゼ産生菌による閉塞性尿路感染症から高アンモニア血症を呈した1例

合田 敏章1)*, 渡邊 光太郎1), 小林 潤也1), 永井 康晴2), 尾原 信行1), 高橋 大介1)

Corresponding author: 国立病院機構大阪南医療センター脳血管内科〔〒586-8521 大阪府河内長野市木戸東町2-1〕
1)国立病院機構大阪南医療センター脳血管内科
2)国立病院機構大阪南医療センター泌尿器科

症例は79歳,女性.意識障害を主訴に当院に搬送された.来院時にはJCS 20であり,四肢の筋緊張亢進を認めた.頭部MRIおよび脳脊髄液検査では異常所見を認めなかった.血液検査でアンモニア値291μg/dlと高値であったが,肝機能は正常であった.尿閉があり尿道カテーテルを留置したところ,入院後8時間で血中アンモニア値は57μg/dlまで低下し,意識レベルも改善した.尿培養よりウレアーゼ産生菌であるCorynebacterium pseudodiphtheriticumを同定した.ウレアーゼ産生菌による閉塞性尿路感染症が高アンモニア血症の原因となりうることに留意すべきである.
Full Text of this Article in Japanese PDF (351K)

(臨床神経, 57:130−133, 2017)
key words:高アンモニア血症,ウレアーゼ産生菌,尿路感染症

(受付日:2016年12月31日)