臨床神経学

症例報告

肥厚性硬膜炎の病像を呈した中枢神経原発anaplastic lymphoma kinase陽性未分化大細胞リンパ腫の1例

藤澤 恵津子1), 柴山 秀博1), 三戸部 扶美1), 片多 史明1), 佐藤 進1), 福武 敏夫1)*

Corresponding author: 亀田総合病院神経内科〔〒296-8602 千葉県鴨川市東町929番地〕
1)亀田総合病院神経内科

中枢神経原発ALK(anaplastic lymphoma kinase)陽性未分化大細胞リンパ腫は検索しえた限り世界で23例の報告があり,本症例は24例目の報告である.患者は40歳男性である.1ヶ月続く後頭部の持続痛を主訴に受診し,入院後の頭部造影MRIで右一側側頭葉周囲の硬膜肥厚が認められ肥厚性硬膜炎と診断された.ステロイド投与により頭痛は改善し外来治療に移行したが,全身性痙攣が生じ救急搬送され再度入院した.脳生検の結果から中枢神経原発ALK陽性未分化大細胞リンパ腫と診断された.片側の肥厚性硬膜炎の原因が,悪性リンパ腫の硬膜浸潤であることがまれにあり,頭部画像の追跡が重要である.
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(臨床神経, 57:705−710, 2017)
key words:中枢神経原発悪性リンパ腫,ALK(anaplastic lymphoma kinase)陽性未分化大細胞リンパ腫,肥厚性硬膜炎

(受付日:2017年3月19日)