臨床神経学

短報

2,4-dinitrophenolによる末梢神経障害をきたした1例

伊豆元 心太朗1), 谷口 晶俊1), 望月 仁志1)*, 塩見 一剛1), 中里 雅光1)

Corresponding author: 宮崎大学医学部内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野〔〒889-1692 宮崎県宮崎市清武町大字木原5200〕
1)宮崎大学医学部内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野

症例は24歳男性である.四肢異常知覚を主訴に精査目的に入院した.四肢末端の表在覚低下と異常知覚を認め,神経伝導検査では感覚神経の障害が示された.血液・髄液検査では軽度の肝障害のほかに特記すべき所見はなかった.痩身薬として個人輸入した2,4-dinitrophenol(DNP)200 mg/dayを2ヶ月間服用していたことが判明し,中止したところ症状・肝障害ともに自然軽快した.DNPによる健康被害は本邦からの症例報告はなく,末梢神経障害を呈した例は海外を含めても稀である.摂取したものについての詳細な問診が重要であるとともに,個人輸入の危険性に対するさらなる啓発が必要と思われた.
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(臨床神経, 57:599−602, 2017)
key words:2,4-dinitrophenol,個人輸入,薬剤性末梢神経障害,薬剤性肝障害,痩身薬

(受付日:2017年5月24日)