臨床神経学

短報

帯状疱疹に続発し発汗過多を呈し,抗アクアポリン4抗体陽性を示した脊髄炎の1例

須田 真千子1)*, 堤内 路子1), 上坂 義和1), 林 伸和2)

Corresponding author: 虎の門病院神経内科〔〒105-8470 東京都港区虎ノ門2-2-2〕
1)虎の門病院神経内科
2)虎の門病院皮膚科

症例は53歳女性である.左Th5〜6領域の帯状疱疹罹患後に左顔面から胸部の発汗過多と左下肢麻痺,胸部から両下肢にかけての感覚障害を呈した.MRI上Th1〜7椎体レベル左側優位に病変を認めた.症状はアシクロビルとメチルプレドニゾロンパルス療法で軽快した.水痘帯状疱疹ウイルスIgG indexが高値であり,varicella zoster virus(VZV)脊髄炎として矛盾しないが,血清抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性であり,発症後1年7か月で脊髄炎の再発をきたした.本症例ではTh2〜7高位の左側脊髄病変により,脊髄中間外側角より前角に至る経路で交感神経が障害され,左顔面から胸部の発汗過多を呈したと考えられた.
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(臨床神経, 57:26−28, 2017)
key words:発汗過多,脊髄炎,帯状疱疹,抗アクアポリン4(AQP4)抗体,視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)

(受付日:2015年11月25日)