臨床神経学

症例報告

脳梗塞の原因として内頸動脈内血栓が関与した1例

坂井 翔建1), 上床 武史1)*, 石束 光司1), 杉森 宏1)

Corresponding author: 佐賀県医療センター好生館脳卒中センター脳血管内科〔〒840-8571 佐賀県佐賀市嘉瀬町中原400〕
1)佐賀県医療センター好生館脳卒中センター脳血管内科

症例は49歳の男性.全失語,右片麻痺を主訴に搬送された.頭部MRIで左前大脳動脈・中大脳動脈領域に超急性期梗塞を認め,MRAでは左A2部・M2部の閉塞が示唆された.t-PAを投与したが症状は改善せず,頸動脈エコーで左内頸動脈起始部に6×7×17mmの巨大血栓を認め,脳梗塞の原因と考えられた.抗凝固療法を開始後に血栓は徐々に縮小し最終的に消失した.内頸動脈内血栓(internal carotid thrombus; ICT)に対しては抗凝固療法が有効であり,その効果の確認には頸動脈エコーが有用であった1例を報告する.
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(臨床神経, 57:14−20, 2017)
key words:内頸動脈内血栓,抗凝固療法,頸動脈エコー

(受付日:2016年8月30日)