臨床神経学

症例報告

高ホモシステイン血症とmethylenetetrahydrofolate reductase遺伝子多型(C677T)をみとめた脳血管性パーキンソニズムの1例

原 賢寿1)*, 恩田 啓伍1), 大内 東香1), 柴野 健1), 石黒 英明1)

Corresponding author:秋田赤十字病院神経内科〔〒010-1495 秋田市上北手猿田字苗代沢222-1〕
1)秋田赤十字病院神経内科

症例は59歳男性である.50歳から歩行障害を自覚し,56歳時に認知症とパーキンソニズム,錐体路症候をみとめ,頭部MRI所見から脳血管性パーキンソニズムと診断された.本例では脳梗塞の危険因子として高血圧を欠き,高ホモシステイン(homocysteine;Hcy)血症とホモ接合体のmethylenetetrahydrofolate reductase(MTHFR)遺伝子多型(C677T)をみとめた.最近の大規模研究では高Hcy血症とMTHFR遺伝子多型が脳小血管病の危険因子であるとする報告が増えているため,本例のような高血圧を欠く比較的若年発症の脳血管性パーキンソニズムにおいては,両者が潜在している可能性がある.
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(臨床神経, 56:77−81, 2016)
key words:脳血管性パーキンソニズム,脳小血管病,若年発症,ホモシステイン,メチレンテトラヒドロ還元酵素遺伝子多型

(受付日:2015年6月14日)