臨床神経学

短報

葉酸,ビタミンB12複合欠乏による著明な高ホモシステイン血症を呈した脳静脈洞血栓症

金谷 雄平1), 音成 秀一郎1), 竹丸 誠1), 志賀 裕二1), 竹島 慎一1), 栗山 勝1)*

Corresponding author:脳神経センター大田記念病院脳神経内科〔〒720-0825 広島県福山市沖野上町3-6-28〕
1)脳神経センター大田記念病院脳神経内科

症例は63歳の男性である.痙攣で発症した上矢状静脈洞の血栓症で,著明な高ホモシステイン血症(93.5nmol/ml)を合併していた.葉酸とビタミンB12の複合欠乏が認められ,メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素遺伝子C677T変異はT/T型であった.葉酸の単独投与により増加部分の86%が低下し,ビタミンB12の追加投与により4ヶ月で正常値に改善した.高ホモシステイン血症の原因は葉酸欠乏が主である事が確認された.ビタミン欠乏など後天的要因でもホモシステインは3桁近くまで異常増加することが明らかになった.矯正可能な危険因子として,高ホモシステイン血症は重要であり,関連するビタミンの検査が必須である.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1418K)

(臨床神経, 56:116−119, 2016)
key words:脳静脈洞血栓症,高ホモシステイン血症,葉酸,ビタミンB12,メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素遺伝子

(受付日:2015年10月5日)