臨床神経学

短報

塩酸クロニジンが有効であった急性散在性脳脊髄炎および低酸素脳症後のparoxysmal sympathetic stormの1例

進村 光規1), 河村 信利1), 立石 貴久1), 重藤 寛史1), 村井 弘之1), 吉良 潤一1)*

Corresponding author:九州大学大学院医学研究院神経内科学〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕
1)九州大学大学院医学研究院神経内科学

症例は17歳女性.急性散在性脳脊髄炎を発症後に重度の誤嚥性肺炎を合併,その際に数分間の呼吸停止があり,頭部MRI検査で低酸素脳症の所見を認めた.その後,突発的な高体温,高血圧,頻脈,過呼吸,筋緊張異常を呈する,交感神経の過剰興奮と思われる発作を繰り返すようになった.発作時の採血検査にてカテコラミンが上昇しており,低酸素脳症に伴うparoxysmal sympathetic stormと診断.塩酸クロニジンの内服で発作は明らかに減少した.
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(臨床神経, 56:108−111, 2016)
key words:塩酸クロニジン,paroxysmal sympathetic storm,急性散在性脳脊髄炎,低酸素脳症,自律神経障害

(受付日:2015年8月11日)