臨床神経学

短報

拡張型心筋症を契機に診断された肢帯型筋ジストロフィー2Mの1例

松井 未紗1)*, 遠藤 卓行1), 松村 剛1), 齊藤 利雄1), 藤村 晴俊1)

Corresponding author: 独立行政法人国立病院機構刀根山病院神経内科〔〒560-8552 大阪府豊中市刀根山5丁目1番1号〕
1)独立行政法人国立病院機構刀根山病院神経内科

症例は24歳男性.6歳時にBecker型筋ジストロフィーをうたがわれたが医療機関への受診は中断していた.23歳時に拡張型心筋症を発症し,筋生検と遺伝子検査で肢帯型筋ジストロフィー2Mと診断した.近年,肢帯型筋ジストロフィーの表現型を呈するfukutinopathyが報告され,骨格筋障害が軽微で心筋症が前景に立つ例が多く,重篤な心不全で発症することもある.筋ジストロフィーの責任遺伝子の多くは心筋症の責任遺伝子でもあり,筋ジストロフィー患者では骨格筋症状の軽重にかかわらず定期的な心肺機能検査が必要である.
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(臨床神経, 55:585−588, 2015)
key words:肢帯型筋ジストロフィー2M,拡張型心筋症,fukutinopathy,α-dystroglycan,高creatine kinase血症

(受付日:2014年11月25日)