臨床神経学

症例報告

運動失調はみとめずパーキンソン症状を呈したspinocerebellar ataxia type 6(SCA6)の1例

竹島 愼一1), 竹田 育子1)4), 小畠 敬太郎2), 山下 徹3), 阿部 康二3), 栗山 勝1)

Corresponding author: 脳神経センター大田記念病院脳神経内科〔〒720-0825 広島県福山市沖野上町3-6-28〕
1)脳神経センター大田記念病院脳神経内科
2)小畠病院
3)岡山大学大学院脳神経内科
4)現:広島大学大学院脳神経内科

症例は57歳男性である.50歳で運動緩慢が出現し,抗パーキンソン病薬を投与し,レボドパ最高800 mgの投与をおこなった.反応はあるが,感受性は悪く,満足ある効果はなかった.脳MRIで小脳虫部と半球の萎縮,脳SPECTで両側頭頂葉血流低下,心筋シンチグラフィーで集積低下,DATスキャンで線条体への左右差のある中等度集積低下をみとめた.母親は純粋型小脳失調を示し,パーキンソン症状はなった.母親の同胞2名は多系統萎縮症(multiple system atrophy; MSA-C)と進行性核上性麻痺の臨床診断であった.患者,母親,母親の兄(MSA-C)3名の遺伝子検査でspinocerebellar ataxia type 6(SCA6)と診断した.小脳失調はみとめず,パーキンソン症状のSCA6は非常にまれである.
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(臨床神経, 55:243−247, 2015)
key words:spinocerebellar ataxia type 6(SCA6),パーキンソン症状,レボドパ反応性,DATスキャン,黒質線条体

(受付日:2014年4月11日)