臨床神経学

症例報告

辺縁系脳炎で発症し,Guillain-Barré症候群様の急性運動感覚性ニューロパチーを呈した抗Hu抗体陽性傍腫瘍症候群の1例

櫻井 岳郎1)*, 脇田 賢治1), 木村 暁夫2), 犬塚 貴2), 西田 浩1)

Corresponding author: 岐阜県総合医療センター神経内科〔〒500-8717 岐阜市野一色4-6-1〕
1)岐阜県総合医療センター神経内科
2)岐阜大学大学院医学系研究科神経統御学講座神経内科・老年学分野

症例は69歳男性.約1カ月前から全身倦怠感,体重減少,もの忘れが出現し,頭部MRI所見から辺縁系脳炎と考えられた.加えて四肢筋力低下,呼吸不全が急速に進行し,人工呼吸器管理となり,末梢神経伝導検査から軸索障害型の急性運動感覚性ニューロパチーと考えられた.血清で抗Hu抗体陽性と判明し,FDG-PETで肺門部のリンパ節に集積を認め,生検により小細胞肺癌を伴う傍腫瘍性神経症候群と診断した.傍腫瘍症候群において,稀ではあるがGuillain-Barré症候群に類似した,呼吸不全を伴う急性運動感覚性ニューロパチーを呈することがあり,抗体の測定や腫瘍検索が診断に有用であった.
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(臨床神経, 55:921−925, 2015)
key words:抗Hu抗体,傍腫瘍症候群,辺縁系脳炎,急性運動感覚性ニューロパチー,呼吸不全

(受付日:2015年6月18日)