臨床神経学

短報

多彩な中枢神経症状を呈し,ステロイドパルス療法が著効したIsaacs症候群の1例

進村 光規1), 前田 教寿1), 金藤 秀治1), 高嶋 伸幹1), 高瀬 敬一郎1)*

Corresponding author: 飯塚病院神経内科〔〒820-0018 福岡県飯塚市芳雄町3-83〕
1)飯塚病院神経内科

症例は44歳男性である.2011年1月頃より両手指がふるえ始め,集中力の低下や「視点が合わない」などの視覚異常も出現.7月頃より両下肢のつっぱり感と筋痛が出現し,転倒するようになったため,前医受診した.CK 26,890 U/lと異常高値をみとめ,筋炎うたがいで当院紹介入院となった.針筋電図でmyokymic dischargeを多発性にみとめ,抗voltage-gated potassium channel(VGKC)複合体抗体が強陽性であったためIsaacs症候群と診断した.抗てんかん薬では効果不十分で,ステロイドパルス療法により劇的に症状は改善した.治療方法として,血漿交換/吸着療法や免疫グロブリン大量療法を第一選択にすることが多いが,ステロイド療法が著効する症例も一部存在するものと考えられる.
Full Text of this Article in Japanese PDF (538K)

(臨床神経, 55:37−40, 2015)
key words:Isaacs症候群,抗voltage-gated potassium channel(VGKC)複合体抗体,高CK血症,ステロイド療法

(受付日:2013年11月7日)