臨床神経学

短報

下垂体炎,および頭蓋,脊髄肥厚性硬膜炎を呈したIgG4関連疾患

坂井 利行1)*, 近藤 昌秀1), 由井 進太郎1), 冨本 秀和2)

Corresponding author: 済生会松阪総合病院神経内科〔〒515-8557 三重県松阪市朝日町1区15-6〕
1)済生会松阪総合病院神経内科
2)三重大学大学院医学系研究科神経病態内科学

症例は32歳の女性である.頭痛,視力低下で発症し,尿崩症,球後視神経炎,四肢腱反射亢進と軽度筋力低下を呈し,血清IgG4上昇,髄液細胞数軽度増多と蛋白増加をみとめ,中枢性IgG4関連疾患と診断した.頭部と脊髄造影MRIにて下垂体炎,および頭蓋,頸椎,腰椎と仙椎レベルの肥厚性硬膜炎を,胸部CTで左肺小結節をみとめた.硬膜生検ではリンパ球系細胞浸潤をみとめたがIgG4免疫染色陽性形質細胞はみられなかった.ステロイドパルス療法にて視力は回復し,血清IgG4は正常になり肥厚性硬膜炎と左肺小結節は軽快した.IgG4関連下垂体炎,および頭蓋,頸椎,腰椎と仙椎レベルの肥厚性硬膜炎を同時期に呈した最初の報告例である.
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(臨床神経, 54:664−667, 2014)
key words:IgG4関連疾患,下垂体炎,頭蓋肥厚性硬膜炎,脊髄肥厚性硬膜炎

(受付日:2013年10月7日)