臨床神経学

原著

Spinocerebellar ataxia type 31(SCA31)の臨床像,画像所見
―Spinocerebellar ataxia type 6(SCA6)との小脳外症候の比較検討―

榊原 聡子1)*, 饗場 郁子1), 齋藤 由扶子1), 犬飼 晃1), 石川 欽也2), 水澤 英洋2)

Corresponding author: 国立病院機構東名古屋病院神経内科〔〒465-8620 名古屋市名東区梅森坂5-101〕
1)国立病院機構東名古屋病院神経内科
2)東京医科歯科大学大学院脳神経病態学

近年原因遺伝子の判明したspinocerebellar ataxia type 31(SCA31)と,同様に純粋小脳失調型であるspinocerebellar ataxia type 6(SCA6)との共通点と相違点を明らかにするため両病型の臨床像とMRI所見について各6例を後方視的に比較検討した.小脳症候は両者に共通したが,小脳症候以外の神経症候はSCA31では難聴のみをみとめたのに対し,SCA6では錐体路症候,精神症状など多岐にわたりより高頻度であった.MRI画像の検討ではSCA31は罹病期間に沿って小脳虫部前葉を中心に萎縮が緩徐に進行するのに対し,SCA6では小脳虫部の萎縮に加え経過10年以下の比較的初期から第4脳室の拡大がめだった.これらの症候や画像所見の特徴は遺伝子診断以前の鑑別の手掛りとなる可能性がある.
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(臨床神経, 54:473−479, 2014)
key words:脊髄小脳失調症(SCA),spinocerebellar ataxia type 31(SCA31),spinocerebellar ataxia type 6(SCA6),MRI

(受付日:2013年4月9日)