臨床神経学

原著

頭部MRIによる延髄梗塞における難治性吃逆責任病巣の検討

植村 順一1)*, 井上 剛1), 青木 淳哉1), 佐治 直樹1), 芝崎 謙作1), 木村 和美1)

Corresponding author: 川崎医科大学脳卒中医学教室〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577番地〕
1)川崎医科大学脳卒中医学教室

当科に入院した発症2週間以内の急性期延髄梗塞90例(右側48例,左側33例,両側9例)で,難治性吃逆は5例(5.5%)だった.急性期延髄梗塞例を難治性吃逆群と吃逆なし群の2群に分けて,頭部MRI像での病変部位を比較すると,難治性吃逆群の頻度が右側で有意に高く(p = 0.048),とくに延髄右側中部内側が多かった(p < 0.001).PubMedで検索しえた論文中に難治性吃逆があり,頭部MRI像で責任病巣が確認しえた症例は16例あり,その責任病巣は延髄中部内側が11例だった.難治性吃逆の責任病巣は中部延髄の疑核,大縫線核と推定されているが,延髄中部右側内側が発症機序に関係している可能性がある.
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(臨床神経, 54:403−407, 2014)
key words:難治性吃逆,延髄被蓋部,頭部MRI

(受付日:2013年8月29日)