臨床神経学

委員会報告

神経内科教育の実態と課題:研修病院

福武 敏夫1)*, 橋本 洋一郎2), 谷脇 考恭3), 豊島 至4), 天野 隆弘5), 青木 正志6), 吉井 文均7), 犬塚 貴8), 吉良 潤一9)

Corresponding author: 亀田メディカルセンター神経内科〔〒296-8602 鴨田市東町929〕
1)亀田メディカルセンター神経内科
2)熊本市民病院神経内科
3)久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門
4)あきた病院神経内科
5)山王メディカルセンター神経内科
6)東北大学神経内科
7)東海大学神経内科
8)岐阜大学神経内科
9)九州大学大学院医学研究院神経内科学

大学病院(80施設)を除く日本神経学会教育施設(243施設)・准教育施設(326施設)・教育関連施設(121施設)の合計690施設を対象として,当該施設の教育責任者宛てに,@初期研修,A後期研修,B専門医試験についてアンケートをおこなった.388施設から回答をえて,回収率は56.2%であった.初期研修医の68.6%が神経内科で研修(2年間で平均2.1ヵ月間)を受けていた.半数以上の施設が,神経内科にローテーションしてこない初期研修医向けの教育をおこなっていなかった.後期研修では,1施設1年あたりの後期研修医は0.44人と少なく,経験する症例に疾患の偏りがあり,自施設だけでは研修目標を達成できない施設が多い(56%)ことがわかった.指導スタッフ不足・マンパワー不足が問題であり,神経学会への要望は多岐にわたっていた.専門医試験に関しては,施設あたりの受験者が少なく,支援・指導が半数の施設でできていない実情が明らかになった.学会への要望ではセミナーやハンズオンに関するものが多く,地方会ではさらに勉強会の設定を求める施設があった.卒後教育においては,各施設の工夫のみでは解決できないことも多く,地域,さらには日本神経学会を中心とした組織的な取り組みが必要と考えられる.
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(臨床神経, 54:341−348, 2014)
key words:神経内科卒後教育,初期研修医,後期研修医,指導医,神経内科専門医試験

(受付日:2013年10月17日)