臨床神経学

症例報告

筋症状のみを呈した慢性ミオパチー型筋サルコイドーシスの1例

辰野 健太郎1)2)*, 中村 聖香1), 朝山 知子1), 中野 智1)

Corresponding author: 大阪市立総合医療センター神経内科〔〒534-0021 大阪府大阪市都島区都島本通り2-13-22〕
1)大阪市立総合医療センター神経内科
2)田附興風会北野病院神経内科

症例は69歳女性である.3年で進行する四肢の筋力低下を主訴に入院した.針筋電図では安静時の自発放電をともなう筋原性変化をみとめた.左上腕二頭筋の筋生検所見では,視野の大部分が結合織で占められ,筋線維は全視野で数本しかみとめなかったが,一部血管周囲にリンパ球が集積していた.数十枚の連続切片を追加し検索したところ,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫と多核巨細胞が確認され,慢性ミオパチー型筋サルコイドーシスと診断した.全身検索をおこなったが,他臓器症状はみとめなかった.筋症状のみを呈した慢性ミオパチー型筋サルコイドーシスの臨床病理の報告はまれであり,貴重な症例と考えられた.
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(臨床神経, 54:313−316, 2014)
key words:筋サルコイドーシス,慢性ミオパチー型,筋ジストロフィー

(受付日:2013年6月7日)