臨床神経学

症例報告

コルヒチンが有効なMollaret髄膜炎で,MEFV遺伝子変異をみとめた1例

木下 朋実1), 松嶋 聡1), 佐藤 俊一1), 星 研一1), 岸田 大2), 矢彦沢 裕之1)*

Corresponding author: 長野赤十字病院神経内科〔〒380-8582 長野県長野市若里5丁目22番1号〕
1)長野赤十字病院神経内科
2)信州大学脳神経内科,リウマチ・膠原病内科

症例は66歳女性である.くりかえす髄膜炎で入院した.10ヵ月で髄膜炎の再発は10回にのぼり,髄液検査では初期に多核球優位であり,しだいに単核球優位となった.髄液中にMollaret細胞をみとめ,髄液中IL-6は高値であった.抗生物質,抗ウィルス剤の投与は無効であったがコルヒチンの投与によって再発が抑制された.家族性地中海熱(familial Mediterranean fever; FMF)の可能性を考え施行した遺伝子検査では,MEFV遺伝子の変異をみとめた.診断に苦慮するMollaret髄膜炎ではFMFや神経Behçet病,神経Sweet病を鑑別として考え,コルヒチンの投与を考慮することが必要である.
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(臨床神経, 54:124−129, 2014)
key words:Mollaret髄膜炎,コルヒチン,家族性地中海熱,神経ベーチェット病,自己炎症性疾患

(受付日:2012年4月19日)