臨床神経学

<Symposium 22-3> 自己免疫性脳炎の最近の知見

精神科におけるanti-NMDAR脳炎:悪性緊張病と非定型精神病と電気治療

神林 崇1)2), 筒井 幸1), 田中 惠子3), 大森 佑貴1), 高木 学4), 面川 真由1), 森 朱音1), 草薙 宏明1), 西野 精治5), 清水 徹男1)2),

1)秋田大学精神科〔〒010-8543 秋田県秋田市本道1-1-1〕
2)筑波大学睡眠研究機構
3)金沢医科大学総合医学研究所生命科学研究領域蛋白質制御研究分野/神経内科
4)岡山大学精神科
5)スタンフォード大学睡眠研究センター

精神科領域において従来致死性(悪性)緊張病と呼び慣らわしてきた病態の経過が,抗NMDA受容体脳炎にきわめて類似していることが指摘された.これ以降,経過中に精神症状を呈する可能性の高い辺縁系脳炎は,精神科においても注目をあびることとなっている.難治性の病態ではある悪性緊張病だが,これまでには電気治療などが試みられて,ある程度の効果がえられていたと考えられる.抗NMDA受容体脳炎をはじめとした辺縁系脳炎の存在は,統合失調症患者群の異種性を明らかにしその一部の原因追求のため,重要な端緒になると思われる.本稿では,精神科領域からみた抗NMDA受容体脳炎と,その治療的アプローチについて述べる.
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(臨床神経, 54:1103−1106, 2014)
key words:抗NMDA受容体脳炎,悪性緊張病,非定型精神病,修正型電気けいれん療法

(受付日:2014年5月23日)