臨床神経学

<Symposium 14-2> 今開かれる筋ジストロフィー治療の扉

デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するエクソン・スキップ誘導療法

武田 伸一1)

1)国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター〔〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1〕

重篤な遺伝性筋疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対しては,アンチセンス・オリゴヌクレオチド(AON)をもちいたエクソン・スキップ治療の実用化が期待されている.われわれはこれまでモルフォリノ核酸をもちいて,マウスおよびイヌのDMDモデル,ならびに患者由来細胞における同手法のproof-of-concept studyを報告してきた.これらの成果をもとに国内製薬企業との共同研究を進め,DMD遺伝子のエクソン53スキップ治療薬の開発に着手し,2013年より同薬の医師主導治験を開始するにいたった.また福山型先天性筋ジストロフィーへの応用,AONの取り込み機構などについても研究を進め,AONの応用可能性を探索する試みについても取り組んでいる.
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(臨床神経, 54:1071−1073, 2014)
key words:デュシェンヌ型筋ジストロフィー,ジストロフィン,エクソン・スキップ,アンチセンス・オリゴヌクレオチド

(受付日:2014年5月23日)