臨床神経学

<Symposium 09-1> 炎症性ニューロパチーの新たな展開

IgG4関連ニューロパチーの臨床と病理

大山 健1), 小池 春樹1), 高橋 美江1), 川頭 祐一1), 飯島 正博1), 祖父江 元1)

1)名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学〔〒466-8550 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65〕

近年,IgGのサブクラスのひとつであるIgG4の上昇をともなう疾患群がIgG4関連疾患(IgG4-RD)として報告され,注目されている.IgG4-RDは,臓器の腫脹・腫大,組織での線維化をともなうIgG4陽性形質細胞浸潤,血清IgG4値の上昇を共通の特徴とし,種々の臓器で報告されてきた.神経領域では下垂体炎や肥厚性硬膜炎が知られていたが,新たにIgG4-RDがニューロパチーでもみられることを明らかにした.IgG4関連ニューロパチーは,下肢遠位優位の運動感覚障害を呈する多発性単神経炎の様式で発症していた.腓腹神経生検では,神経上膜のIgG4陽性形質細胞浸潤および線維化をみとめ,有髄線維密度の低下,軸索変性像の出現がみられた.IgG4-RDもニューロパチーの鑑別疾患の一つとなる可能性が示唆された.
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(臨床神経, 54:1047−1049, 2014)
key words:IgG4関連疾患,IgG4関連ニューロパチー,多発性単神経炎,血管炎,線維化

(受付日:2014年5月22日)