臨床神経学

<Symposium 08-4> 自律神経の臨床

多角的自律神経機能検査法をもちいた小径線維ニューロパチーの診断

大林 光念1), 安東 由喜雄2)

1)熊本大学大学院生命科学研究部構造機能解析学分野〔〒862-0976 熊本県熊本市九品寺4-24-1〕
2)熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学分野

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーや糖尿病性末梢神経障害は発症早期から小径線維ニューロパチーを呈するが,有用な臨床指標がない現状では,この病態の早期発見は容易でない.そこでわれわれは,小径線維ニューロパチーを早期診断するため,レーザードプラ皮膚血流検査や換気カプセル法による発汗検査,汗腺の形態チェック,胃電図,胃内の小径線維やCajal細胞の密度測定,123I-MIBG心筋シンチ,血圧オーバーシュート現象をみる起立試験などの自律神経機能検査を考案した.これらは,ATTR V30M保因者やIGT患者にみられる早期の小径線維ニューロパチーを診断しえる.また,これらにC,Aδ特異的痛覚閾値検査を加えることも,診断に有用となる.
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(臨床神経, 54:1044−1046, 2014)
key words:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー,糖尿病性末梢神経障害,小径線維ニューロパチー,自律神経機能機検査,痛覚閾値検査

(受付日:2014年5月22日)