臨床神経学

<Symposium 06-2> 神経感染症における日本からの新たな発信

アシクロビル耐性単純ヘルペスウイルスによる脳炎の診断および治療戦略

西條 政幸1)

1)国立感染症研究所ウイルス第一部〔〒162-8640 東京都新宿区戸山1-23-1〕

アシクロビル(ACV)の導入により単純ヘルペスウイルス(HSV)による中枢神経感染症の予後は改善されているものの,後遺症を残す患者が多い.ACV治療に耐性のHSV-1による脳炎の報告はなされているが,脳脊髄液からHSV-1を分離することができないことからウイルス学的にACV耐性株による脳炎を証明することは難しい.私たちにより新生児におけるウイルス学的に証明されたACV耐性HSV-1による脳炎ついて,世界ではじめて報告された.また,ACV治療に抵抗性を示す脳炎患者について報告されている.そのひとつの原因としてACV耐性株の出現が挙げられる.ACV治療に抵抗性を示す患者の治療において,適切な治療には原因ウイルスの薬剤感受性の評価や治療薬の適切な選択が求められる.
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(臨床神経, 54:1024−1027, 2014)
key words:ヘルペス脳炎,アシクロビル,感受性試験,ウイルス性チミジンリン酸化酵素,脳脊髄液

(受付日:2014年5月21日)