臨床神経学

<Symposium 05-4> 遺伝性痙性対麻痺の最新情報

遺伝性痙性対麻痺に対するバクロフェン髄腔内投与治療

平 孝臣1), 竹田 信彦1)

1)東京女子医科大学脳神経外科〔〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1〕

バクロフェンは脊髄後角のGABA-B受容体に作用して抗痙縮作用をもたらす.しかし血液脳関門を通過しにくいため微量を脊髄髄液腔に持続投与する.バクロフェン髄腔内投与療法(ITB)は本邦では11,00例以上の経験があり,遺伝性痙性対麻痺(HSP)は50例あまりである.HSPでのITBの特徴は,通常より少量の投与量で効果がみられること,わずかな投与量の変化によって大きく効果が変化すること,長期投与で薬剤を低減できることがあること,があげられる.歩行改善,試験投与での効果推定については一定の結論はえられていない.筋攣縮痛の緩和には非常に有用である.合併症は新たなカテーテルが導入されたことで激減している.
Full Text of this Article in Japanese PDF (280K)

(臨床神経, 54:1018−1020, 2014)
key words:バクロフェン,痙縮,遺伝性痙性対麻痺

(受付日:2014年5月21日)