臨床神経学

<Symposium 05-2> 遺伝性痙性対麻痺の最新情報

遺伝性痙性対麻痺の臨床像

嶋崎 晴雄1)

1)自治医科大学内科学講座神経内科学部門〔〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1〕

遺伝性痙性対麻痺(Hereditary Spastic Paraplegia; HSP)は進行性の下肢の痙性麻痺を主症状とし,様々な随伴症状をともなう遺伝性の疾患群で,数多くの原因遺伝子が同定されている.本稿では自験例のSPG4,SPG11,SPG55,痙性対麻痺を呈したChediak-Higashi症候群についてその臨床像を紹介した.HSPは,同じ遺伝子の異常でも臨床症状がことなったり,症状が同じでもまったく別の遺伝子異常が原因であったりと,臨床的・遺伝的に多様である.さらに,HSPの原因遺伝子以外の異常でもHSP様の臨床像を呈することがあるため,痙性対麻痺を呈する疾患の診断には,幅広い鑑別が必要である.
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(臨床神経, 54:1012−1015, 2014)
key words:遺伝性痙性対麻痺,SPG4,SPG11,SPG55,チェディアック・東症候群

(受付日:2014年5月21日)