臨床神経学

症例報告

可溶性IL-2受容体値が疾患活動性と相関した神経Sweet病の1例

温井 孝昌1)*, 高嶋 修太郎1), 田口 芳治1), 道具 伸浩1), 小西 宏史1), 田中 耕太郎1)

Corresponding author: 富山大学附属病院神経内科〔〒930-0152 富山市杉谷2630〕
1)富山大学附属病院神経内科

症例は76歳の男性である.発熱,意識障害で入院した.髄液検査で単核球優位の細胞増多,蛋白上昇をみとめたが,感染症,膠原病,悪性疾患はみとめなかった.頭部MRIで斜台,頸椎に過形成性骨髄をみとめ,骨髄血でT細胞受容体遺伝子再構成をみとめた.血中可溶性IL-2受容体(sIL-2R),MPO-ANCAが高値であった.経過中に両下肢の紅斑が出現し,皮膚生検,HLAタイピングから神経Sweet病と診断した.ステロイドが著効したが,漸減中に再発し,シクロスポリンの併用で軽快した.治療後にsIL-2R,MPO-ANCAは正常化し,頭部MRI上の斜台の骨髄過形成の所見も改善した.
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(臨床神経, 54:876−881, 2014)
key words:神経Sweet病,骨髄過形成,可溶性IL-2受容体,MPO-ANCA,T細胞受容体遺伝子再構成

(受付日:2013年2月26日)