臨床神経学

総説

神経変性疾患における病理像の見方,考え方

若林 孝一1)*

Corresponding author: 弘前大学大学院医学研究科脳神経病理学講座〔〒036-8562 弘前市在府町5〕
1)弘前大学大学院医学研究科脳神経血管病態研究施設脳神経病理学講座

神経変性疾患は「解剖学的系統性」,つまり,選択的に強く障害される部位によって分類されてきた.しかし現在では,神経変性疾患の多くは「蛋白蓄積病」であり,蓄積する蛋白の種類によって分類されるようになった.また,神経変性疾患の1次的病変部位は中枢神経系であるが,パーキンソン病は末梢自律神経系をふくめ全身病として捉えられるようになった.さらに,「神経変性(neurodegeneration)」という言葉が示すように,神経変性疾患とは神経細胞が進行性に変性し細胞死にいたる病態と考えられてきた.しかし,変性の標的は神経細胞だけでなく,グリア細胞にもおよんでいる.
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(臨床神経, 53:609−617, 2013)
key words:神経変性疾患,封入体,グリア細胞,末梢神経系,病理学

(受付日:2013年2月27日)