臨床神経学

症例報告

髄膜刺激徴候,髄液異常を呈したレジオネラ感染の1例

長谷川 樹里1)*, 堀川 智史1)2), 遠藤 一博1)

Corresponding author: 社会医療法人豊見城中央病院神経内科〔〒901-0243 沖縄県豊見城市字上田25番地〕
1)社会医療法人豊見城中央病院神経内科
2)久留米大学医学部精神神経学講座

症例は60歳の男性である.発熱と意識障害にて受診し,髄膜刺激徴候をみとめた.髄液検査で軽度の細胞数増多と蛋白上昇をみとめたが,低Na血症,肝機能障害,CKの上昇の血液検査所見と尿中レジオネラ抗原陽性でありレジオネラ感染症と診断し,抗生剤投与を開始した.胸部CTで左下葉背側に浸潤影をみとめ,肺胞洗浄液からレジオネラ菌が検出されたが,髄液のレジオネラ菌培養,PCR法は陰性であった.以上からレジオネラ菌感染にともなう中枢神経症状の原因として同菌の直接浸潤の可能性は低く,髄液IgG indexが高値であり免疫学的機序の関与が考えられた.レジオネラ肺炎でも髄膜脳炎様症状を呈することがあり,注意を要する.
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(臨床神経, 53:526−530, 2013)
key words:レジオネラ感染症,髄膜刺激徴候,髄液異常,IgG index高値

(受付日:2012年11月13日)