臨床神経学

症例報告

フィンゴリモド投与10日後に多巣性白質病変を呈し急性増悪を示した視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)の1例

伊ア 祥子1)*, 成川 真也1), 久保田 昭洋1), 三井 隆男1), 深浦 彦彰1), 野村 恭一1)

Corresponding author: 埼玉医科大学総合医療センター神経内科〔〒350-0844 埼玉県川越市大字鴨田1981〕
1)埼玉医科大学総合医療センター神経内科

症例は抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性の視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)の49歳女性である.フィンゴリモド(1.25mg/日)投与を開始し,治療10日後に急激な意識障害,失語症,右半側空間無視,右片麻痺が出現し,多巣性白質病変を呈し急性増悪をみとめた.抗AQP4抗体陽性のNMOSD症例へのフィンゴリモド投与は,症状の急激な増悪をみとめる可能性があることを報告する.
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(臨床神経, 53:513−517, 2013)
key words:視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD),フィンゴリモド(FTY720),抗AQP4抗体,多発性硬化症

(受付日:2012年8月22日)