臨床神経学

症例報告

発症より40年以上経過したDuchenne型筋ジストロフィーの2例

石ア 雅俊1)*, 上山 秀嗣1), 増田 曜章1), 西田 泰斗1), 今村 重洋1), 安東 由喜雄2)

Corresponding author: 独立行政法人国立病院機構熊本再春荘病院神経内科〔〒861-1196 熊本県合志市須屋2659〕
1)独立行政法人国立病院機構熊本再春荘病院神経内科
2)熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学分野

本2症例はDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)の45歳男性である.Dystrophin遺伝子検査にて症例1はexon 50,症例2はexon 46〜52に欠失をみとめた.ともに骨格筋障害と呼吸不全は重度であるが,心筋障害は軽度であり,知能はほぼ正常であった.ADLは終日気管切開下にて人工呼吸器装着中でベッド上臥床状態ではあるが,趣味活動や外出行事などに参加し,生活の質は保たれていた.呼吸管理や栄養管理の向上,心保護薬などによりDMD患者の寿命は着実に延長してきており,心筋障害が重度でなければ生活の質を保ちながら40歳以上存命することが可能である.
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(臨床神経, 53:293−298, 2013)
key words:Duchenne型筋ジストロフィー,高齢,心筋障害,生活の質,dystrophin

(受付日:2012年8月13日)