臨床神経学

症例報告

脳神経障害を合併しMRIにて三叉神経の腫大・造影効果を呈した急性自律性感覚性運動性ニューロパチーの1例

内藤 裕之1), 土井 光1), 稲水 佐江子1), 伊藤 聖2), 荒木 武尚1)*

Corresponding author: 広島赤十字・原爆病院神経内科〔〒730-8619 広島市中区千田町1-9-6〕
1)広島赤十字・原爆病院神経内科
2)三次神経内科クリニック花の里

症例は46歳の男性である.感冒症状を契機に緊張性瞳孔,起立性低血圧,膀胱直腸障害,全身の発汗障害などの重度の自律神経障害を発症し,全身の温痛覚障害および脳神経系および四肢の運動障害を合併した.各種検査から節後性無髄線維の軸索変性が主体の急性自律性感覚性運動性ニューロパチーと診断した.免疫グロブリン療法およびステロイドパルス療法をおこなうも自律神経障害の改善は乏しく,予後不良な経過をたどった.頭部MRI検査にて両側三叉神経の腫大および造影効果が確認され,表在覚の障害は著明であるにもかかわらず深部覚は保たれているといった,過去の報告にはない特徴的な所見をみとめた症例であった.
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(臨床神経, 53:125−130, 2013)
key words:急性自律性感覚性運動性ニューロパチー,自律神経障害,起立性低血圧,三叉神経

(受付日:2012年4月30日)