臨床神経学

<教育講演(2)―3>

遺伝子変異 up date

中川 正法1)

1)京都府立医科大学附属北部医療センター〔〒629-2261 京都府京都府与謝郡与謝野町字男山481番地〕

DNA解析技術の画期的進歩(次世代シーケンス技術など)の結果,全ゲノム関連解析(GWAS),全エクソーム解析が可能となり,単一遺伝子病や“ありふれた疾患”の関連遺伝子解析研究が急速に進展し,パーソナルゲノムの時代へと進んでいる.現在,約2,900疾患の遺伝子検査が可能となっている.今後も飛躍的な疾患原因遺伝子・関連遺伝子の発見,ES細胞,iPS細胞の開発研究の急速な展開により,遺伝子治療,再生医療もより現実的になりつつある.このようなゲノム研究のいちじるしい進展により,医療のパラダイムシフトが展開されようとしているが,一方で従来の生命倫理観だけは解決困難な課題も多く,生命倫理に関する国民的論議が必要とされている.
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(臨床神経, 53:903−906, 2013)
key words:遺伝子変異,次世代シーケンス技術,エクソーム解析,遺伝カウンセリング,生命倫理

(受付日:2013年5月30日)