臨床神経学

<シンポジウム(4)―17―3>ALSにおけるコミュニケーション障害とその対策:完全閉じ込め状態への挑戦

Totally locked-in state患者の脳と脊髄における障害部位と保全部位

小蛛@清光1), 望月 葉子2)3), 中山 優季4), 林 健太郎5), 清水 俊夫5), 長尾 雅裕5), 橋本 智代1)6), 山崎 峰雄7), 松原 四郎5), 小森 隆司2)

1)信州大学医学部神経難病学講座分子病理学部門〔〒390-8621 長野県松本市旭3丁目1-1〕
2)東京都立神経病院検査科病理
3)東京都立北療育医療センター神経内科
4)東京都医学総合研究所運動・感覚システム研究分野難病ケア看護研究室
5)東京都立神経病院脳神経内科
6)産業医科大学神経内科
7)日本医科大学神経内科

完全閉じ込め状態(TLS)の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者(ALS-TLS)と意思疎通をおこなうことを最終的な目的として,どのような感覚がALS-TLSで保たれている可能性があるか,剖検例神経系の種々の感覚経路の保全/障害状態を神経病理学的に検索した.結果は,ALS-TLSでは,視覚路,辺縁系(嗅覚路)などは保たれる傾向を示した.一方,体性感覚路,聴覚路,味覚路などは強く障害されていた.ALS-TLS患者との意思疎通と,意思疎通のためのBMIの開発と使用には,これらの所見を踏まえた入力方法を工夫する必要がある.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1460K)

(臨床神経, 53:1399−1401, 2013)
key words:筋萎縮性側索硬化症,完全閉じ込め状態,ブレインマシンインターフェース

(受付日:2013年6月1日)