臨床神経学

<シンポジウム(4)―16―4>パーキンソン病(PD)の自律神経障害〜全身とのクロストーク

パーキンソン病/レビー小体型認知症の血圧と認知機能

朝比奈 正人1)

1)千葉大学医学研究院神経内科学〔〒260-8670 千葉県千葉市中央区亥鼻1丁目8-1〕

パーキンソン病(PD)とくらべてレビー小体型認知症(DLB)では自律神経障害が重度である.Braak仮説ではPDのレビー小体病理は嗅神経または末梢自律神経から始まる(dual hit theory).そして,LB病理は嗅神経からは辺縁系に,末梢自律神経からは迷走神経背側運動核に進展し,その後に黒質にいたる.この進展過程からPDとDLBの自律神経不全の重症度の違いを説明するのは難しい.しかし,自律神経症状の顕著なDLBでは,長期にわたり病変が末梢自律神経に偏在していて,何らかの促進因子が加わった時に急激に病変が脳内に広がっていくと考えると説明可能かもしれない.本稿ではレビー小体病の進展過程を自律神経病変の観点から論じる.
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(臨床神経, 53:1386−1388, 2013)
key words:レビー小体病,パーキンソン病,認知機能,血圧,自律神経

(受付日:2013年6月1日)