臨床神経学

<シンポジウム(4)―13―4>日本神経学会編纂診療ガイドラインの現況と将来展望

パーキンソン病ガイドラインの使用経験から

前田 哲也1)

1)秋田県立脳血管研究センター神経内科〔〒010-0874 秋田県秋田市千秋久保田町6-10〕

治療ガイドラインはすべての医療者に易しく編纂されているが,その一文は膨大なエビデンスから紡ぎ出されている.パーキンソン病治療ガイドライン2011はクリニカルクエスチョン形式の採用により実臨床で生じる疑問がより明確に示されている.そして治療選択肢を明確に示すことによりADLのみならずQOLをも考慮した治療戦略を患者個々に適用することを容易にした.一方で具体的な治療方針を示すことで生じる治療の画一化は,前回ガイドラインと同様,払拭しがたい問題と考えられた.さらに明らかにガイドラインを逸れた治療選択が求められる場面もまたしばしば経験され,患者固有の問題を勘案したEBMの実践が重要であると考えられた.
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(臨床神経, 53:1348−1350, 2013)
key words:パーキンソン病,治療ガイドライン,クリニカルクエスチョン,エビデンスに基づく医療,テイラーメイド医療

(受付日:2013年6月1日)