臨床神経学

<シンポジウム(4)―11―3>GBS/CIDPをめぐる最新の話題

Bickerstaff型脳幹脳炎の全国疫学調査からわかったこと:病態機序の多様性

古賀 道明1)

1)山口大学大学院医学系研究科神経内科学〔〒755-8505 山口県宇部市南小串1丁目1-1〕

ビッカースタッフ型脳幹脳炎(BBE)の発症機序として,先行感染にともない誘導された自己免疫的機序がギラン・バレー症候群と同様に推測されている.一方で,三主徴(眼球運動障害,運動失調,意識障害)が急性進行性に一過性の経過でみられるという臨床像で規定される“症候群“としても捉えられており,ことなる病因に起因する症例も一定の割合でふくまれることが予想される.筆者らが世界的にもはじめておこなった,BBEに関する本邦での全国疫学調査では,BBEの年間発症数などの疫学的な情報に留まらず,BBEの病因の多様性を示すデータがえられており,その知見を中心にBBEを概説した.
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(臨床神経, 53:1322−1324, 2013)
key words:ビッカースタッフ型脳幹脳炎,全国疫学調査,抗ガングリオシド抗体,脳幹脳炎

(受付日:2013年6月1日)